クリプトスポリジウムについて

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ウィキペディアより引用

クリプトスポリジウム(学名:Cryptosporidium Tyzzer, 1907)は、アピコンプレックス門に属する原虫であり、ヒトを含む脊椎動物の消化管などに寄生する。
種と宿主の組み合わせ次第ではクリプトスポリジウム症を引き起こし、致死的になる場合もある。
クリプトスポリジウム・パルバム(遺伝子型1または2)は病原性原虫としては唯一、感染症法により特定病原体等(四種病原体)に指定されている。
この1属をもってクリプトスポリジウム科Cryptosporidiidae Leger, 1911 を構成する。
学名は、ギリシア語でkryptos隠れた + ラテン語のsporidium担子胞子(sporaで種)に由来する。

影響

環境中では4〜6μmの大きさのオーシストを呈しており増殖することはないが、ひとたびヒト、イヌ、ネコ、ウシ等の哺乳類の体内に取り込まれると、オーシストから放出されたスポロゾイトが消化器系、特に小腸に寄生して増殖する。
増殖において一部は再びオーシストを形成し糞便とともに環境中に放出される。
糞便中に含まれるオーシストはヒトの場合10億個/日、大型の家畜においては100億個/日に達する。
水源等が汚染され、しばしば飲料水や水道水に混入して集団的な下痢症状を発生させることがある。下痢は水様便を呈し、3L/日、回数にして数十回/日に達する。
現在、特効薬は無いが、1-2週間程度で自然治癒する。旅行者下痢症の一因でもある。AIDSなど免疫不全症を発症している患者の場合、死に至る事もある。
上水道の残留塩素など塩素による消毒ではオーシストを不活化させることができないため、先進国においてもしばしば集団感染が報告されている。
有名な事例として,米国ウィスコンシン州ミルウォーキー市(1993年)や埼玉県越生町(1996年)の感染事故があげられる。

対策

河川・湖沼などから取水し飲用水を供給する浄水場では、凝集・堆積・濾過による通常濾過処理を行っている。
塩素消毒に対して強い耐性があるが、高濃度の塩素で長時間処理することで不活化できる。紫外線処理によっても不活化できる。

浄水場における対策

使用者の対策

飲用に使用する水は、煮沸を行う。1分程度の煮沸でオーシストの感染力は失われる。

その他

水源地の上流に放牧地等が存在する場合には、家畜の屎尿を流入させない処理施設を整備する。
哺乳動物の糞便の混入及び除去率の確認のため、大腸菌及び嫌気性芽胞菌の検査を実施する。
家庭用浄水器は、ほとんどの製品で膜の孔径を表示していない為、その有効性を評価できない。

補足

オゾン処理は、低水温時に消毒効果が大きく低下することが明らかになった。 紫外線消毒は、消毒効果が高いことが分かっているが、クリプトスポリジウムが濁質の影に隠れる可能性と、その場合の対策を検討する必要がある。
膜処理では、膜の損傷の検出と、対策が重要である。
2001年(平成13年)11月13日付の厚生労働省健康局水道課水道水質管理室による「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」によれば「ろ過池出口の水の濁度を常に0.1度以下に維持すること。」となっている。

以上、ウィキペディアより引用(2015.9)

厚生労働省健康局水道課長名での、各自治体への通知文書内の記述(抜粋)(2007.3.30)

予防対策

水道事業者等は、水道原水に係るクリプトスポリジウム等による汚染のおそれの程度に応じ、次の対応措置を講ずること。

レベル4

ろ過池またはろ過膜(以下、「ろ過池等」という。)の出口の濁度を0.1度以下に維持することが可能なろ過設備(急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)を整備すること。

レベル3

  原谷浄水場が該当

以下のいずれかの施設を整備すること。
(a)ろ過池等の出口の濁度を0.1度以下に維持することが可能なろ過設備((急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)
(b)クリプトスポリジウム等を不活性化することができる紫外線処理設備。

具体的要件は省略。

運転管理(抜粋)

原谷浄水場の評価と対策(2014.1)

原谷浄水場は、平成24年4月に掛川市水道事業変更認可申請において、従来予備施設として運用されていたものを、水源の復活と合わせて紫外線処理方式の浄水場として認可されたことを受け、平成26年1月に修繕詳細設計をしている。
水道事業認可時点における原水の水質試験検査では、耐塩素性病原性細菌の指標菌が検出されリスクレベル3に該当していたため、浄水処理方式については紫外線照射装置を設置することとした。

注:紫外線処理方式の適用基準は、地表水以外の原水を対象とし、汚染度がレベル3(クリプトスポリジウム等による汚染のおそれがある)に該当する施設を対象としている。

平成27年4月の時点では、紫外線照射装置の設置工事は完成しておらず、6月23日の建通新聞ニュースによると原谷浄水場内に急速ろ過設備の整備を計画し、実施設計を中部コンサルタント掛川事業所に委託したとのこと。
設計の納期は9月30日。

建通ニュース

このことは、当初は予定に無かった、急速ろ過設備を設置しなければならないほど、水の汚れがひどくなってきたことを意味しています。
設備が完成するまでの危機管理は大丈夫なのでしょうか。